【看護師】インシデントが続くあなたに贈る5つの処方箋
インシデントは起こしたくて起こしているわけではありません。
命を脅かすようなミスでは無かったけど、
些細なことが大きな事故に発展していきます。
- 新人看護師
- 中堅看護師
- ベテラン看護師
インシデントは誰もが起こしえます。
- もう辞めたい
- 看護師として失格
- 看護師に向いていない
自分を責めて、こんな気持ちを抱くことも珍しくはありません。
nurse-job-change-support.hatenablog.com
以前、対処法を綴りましたが
今回はより具体的な原因について深堀りを行っていきます。
インシデントが続くあなた、仕事で悩めるあなたに贈ります。
・新人看護師でインシデントを起こし自己嫌悪に陥っている
・看護師歴が長いにも関わらずインシデントを起こしてしまった
・新人看護師、中堅看護師でインシデントが続く方
・インシデントを起こしたことをきっかけに、看護師を辞めようと思っている
・インシデントについて考え方がわからない
・「病院」や「高齢者施設」など
「治療➡生活支援➡退院(退所)」という流れがパッケージ化された
職場(組織)で起こるインシデントを考えていきます。
・作業療法士として活動している管理者が、
他部門から見た看護師さんの動きを分析しながらインシデントを考えます。
・管理者と一緒に働いた看護師さんの実体験にもとづきます。
少しでも共感していただけると幸いです。
・この記事で触れていることが科学的根拠にもとづく
インシデントの原因、要因の全てではありません。
・インシデントに悩んでいる看護師さんを応援するための記事です。
誰もがインシデントを起こしたくておこしていません。
インシデントがアクシデントになることを防止するためにも、原因や要因の追及は必要です。
■目次
▶3.看護師 なぜインシデントは仕事ができないとみられるのか。
▶4.看護師 インシデントが続くと職場にいづらくなるのはなぜ?
▶5.【インシデント】悩んでいる看護師のあなたへ5つの処方箋
▶6まとめ
1.なぜ看護師はインシデントを起こすのか?
インシデントの原因を現場目線で考えてみました。
おおきく仕事(業務)と人間関係にわけていきます。
1-1看護師の業務は多忙
看護師の業務は多忙です。
バイタルチェック、ドクター補助、受け持ち対応、入退院の準備などに加え、
食事、入浴・排泄介助と続くため、生活支援も含めると仕事量は膨らみます。
医師の指示のもとに採血、点滴などを行う医療行為については、
ヒトの命に直接的に関わるためミスは許されません。
労働時間は常勤であれば8時間となりますが、
人手不足の病院であれば1日10時間も勤務が続く場合もあります。
一般的な会社であれば考えられますが、
医師でもない限りコ・メディカル部門では考えにくいです。
また、1日の流れがパッケージングされているため
マイペースに働けないのが現実です。
インシデントに相当する要因を2つ上げてみます
1-1-1.仕事の焦り
勤務時間内に与えられた業務を完遂することが求められます。
看護師の勤務は交代制ですから、仕事が余れば次の職員に引き継がれますので、
迷惑をかけられないという気持ちは自然と起こり得ます。
焦りは仕事のパフォーマンスを低下させるため、
インシデントの要因として考えられます。
1-1-2.緊急対応
患者様の急な体調変化は十分起こり得ます。
意識消失、発作、誤嚥など仕事を終える直前まで気がぬけません。
フロアの職員が足りていなければ対応に追われます。
患者様、利用者様がいる限り看護業務は続くため、交代しながら対応にあたります。
特定の時間帯に限って人員不足となれば、
多忙な業務になるためインシデントの発生リスクが高まります。
1-2.看護師は人間関係で仕事をしている
インシデントの要因のひとつに「人的」な心理要素が考えられます。
看護師はひとりではなく「チームワーク」が求められます。
コミュニケーションを常にとって仕事を行うわけですから
仲間との関係性は非常に大切です。
1-2-1.先輩、仲間への苦手感
対人場面において相手を意識した適切なコミュニケーションができなければ、
意思疏通に不具合が生じていきます。
気遣いができなかったり、協調性が図れなければ関係性に歪みが生まれ、
徐々に仲間に対する苦手感が出てきます。
言葉の使い方はとても難しいところで、
相手に誤解を与えるようにとらえれられてしまったり、
通じたようで通じていなかったりなこともあります。
- 「あの人は合わない」
- 「言動が怒っているようで怖い」
- 「話しかけにくい・・・。」
こういった思考心理が続くと、些細なことから疎通がとれなくなるため、
ミスが誘発されインシデントへ繋がります。
1-2-2.他部署との関係性
いちばんは「医師」とのやりとりです。
医師の考えていた意図がくめなかった➡失敗した➡怒られる
といった負の連鎖に陥ることです。
コミュニケーションをとって関係を築きながらの仕事ですから
他部署との連携ミスも重大な事故に直結してしまいます。
特に内服薬におけるミスは重大なインシデントとなります。
看護師の間でとれていたコミュニケーションも、
他部門では通じないことも考えられますので、
相手に伝えるという作業はとても大切です。
看護師の中でも申し送りを行いながら業務が続くわけですから、
伝え方は大切だと思います。
2.看護師のインシデントが続く原因
病棟でよくある事例です。
【面談にて】
医師:▢様は明日検査となります。食事、飲食は完全に控えて下さい。
▢様:分かりました
医師:〇さん(看護師)、~様の食事を止めて下さいね。
飲食禁止をするように対応をおねがいします。
〇 :分かりました。
【病室にて】
〇 :▢さん、飲食禁止の指示がでましたので
紙を貼っておきますね。
(紙には「検査あり、飲食禁止」の文字)
▢様:水分もだめですか?
〇 :口を湿らせる程度にしてください
▢様:わかりました。
こんなやりとりはありませんか??
看護師さんの書いて下さった紙から「検査」ということが分かります。
「飲食禁止」ということから、医療従事者であれば胃腸の検査かな?と
予想もできます。
「禁止」と書いてあれば、先のことをイメージして行いませんよね。
ここで伝えたいのは「イメージ力」の重要性です。
上記の事例で考えると「口を湿らせる程度」は〇ですが、
「ひとくち飲む」は×です。
先のことを考えて推測・判断する能力になりますが、
不足することでインシデントの起因となったり、続く要因となりえます。
2-1.注意の向け方
薬や点滴の本人確認をするために、
薬に書かれている患者様の名前を読み上げる場面があります。
ほとんどの治療が点滴による薬物療法ですし、点滴はつきものです。
注意を払うにも方法はいくつかありますが、
よく行われているのが、
- 目視
- 指差し
- 読み上げ
確認の工程数が多ければ作業時間はかかりますが、
確認動作が続くためミス防止となります。
注意を向ける意識が低ければミスは起こりうるものですから、
インシデントの要因として考えられます。
2-2.自己解決
- 「このくらい大丈夫」
- 「転びそうになって軽く手が床についたけど、完全な転倒でない(隠蔽)」
- 「あの患者さん、耳が遠いから点滴の名前を読み上げなくていいか。」
こういう考え方は状況によって起こりえますが、基準がばらばらです。
自分は○と思っていたけど先輩は×
基準の一般化が組織で図れなければ個々の基準で考えますので、
自己解決に陥りやすいです。
これがインシデントに繋がります。
基準が明確でなければ、
回りがどうであれ確認をとることが望ましいといえます。
2-3.判断ミス
自己解決に近い考え方ですが、だれにも相談しないことで判断ミスは起こり得ます。
自分の看護経験を過剰評価する心理が働くことも要因のひとつです。
チームワーク(組織)で仕事をしている以上、
患者様や利用者様の状態は仲間と情報交換をしっかりとるべきです。
密な連絡ができるとミスの防止になりますので、インシデントの起因が減ります。
3.【看護師】なぜインシデントは仕事ができないとみられるのか。
インシデントが続く場合、
まわりから心配されたうえ「仕事ができないヒト」という印象を
仲間に与えてしまうのが現実です。(落ち込む原因ですね)
理由を深堀して考えます。
3-1.様々な考え方をもった看護師がいる
- 1年目~3年目の看護師
- 5年目の看護師
- 10年目の看護師
- 20年目の看護師
臨床経験から医療や福祉制度・疾患知識・状況判断・看護技術に
バラツキがあります。
それぞれの立場から考え方が様々あるため経験年数の多い看護師は、
「今の若者は・・・」ということになります。
しかし、皆それぞれ教育方針も異なるなかで育ってきていますから、
特に年齢を重ねた看護師は柔軟な対応が求められます。
逆に、若い世代も甘んじることなく仕事を行う考え方は必要です。
インシデントは小さいものから大きいものまであるかと思いますが、
どんなインシデントでもアクシデントにならないよう
防止に努めなければなりません。
3-2.チームワークで仕事をしているから
病室によって受け持ちが決まっていたり、
ユニットのリーダー、病棟看護師長などまとめ役がいて職場が機能をしています。
ひとつのチーム(組織)として、
歯車として機能するわけですから不具合が生じることで、
「なんで?」「どうして?」と心理が働いてしまいます。
みんなができていて、一人だけできない。
であれば、能力的に標準まで達していないということですから
仕事ができないという評価はさけられません。
技術不足によるインシデントは看護師として防止しなければなりません。
「上手くできない・・・」と落ち込むことはあると思いますが、
技術に不安があれば先輩に相談というかたちがよいです。
4.看護師 インシデントが続くと職場にいづらくなるのはなぜ?
失敗やドジが続くと「もう嫌だ・・・」と落ち込むことがあります。
インシデントは命に関わりますので、
起こしてしまった本人は精神的にもつらいはずです。
しかし、チームワークで働いている以上、
職場としてもサービスの質を下げないよう改善がもとめられます。
あなたが職場のリーダー的な職務を担っていないかぎり、
ミスはあなただけの責任ではありません。
(落ち込むことは良いですが、引きずらないように。)
インシデントは組織として考えることが求められます。
4-1.あなたが優しいから
看護師として失格と思う気持ち・・・
それは、
あなたは真面目に仕事に取り組んでおり、
看護師として与えられた仕事を全うしようとしている心理が働いています。
新人看護師さんは特に勤めはじめは
どの業務にどれだけ力を注いでいいか、
また、生命に関わるはじめてのことで視野も狭いはずです。
すべて描いたストーリーのようにすすめば理想ですが、
難しいことだらけです。
チームワークで働いている以上、
インシデントはあなただけの責任ではありません。安心してください。
4-2.職場の評価(士気)が下がる
チームで仕事を行うことにもメリット・デメリットは存在します。
【メリット】
- 人数が多い分、仕事が早い
- 統率できれば高い質、仕事量がこなせる
【デメリット】
- 統率者が不可欠
- 連携が乱れると全てに悪影響が生まれる
生命に関わる大切な仕事ですから、チームワーク、連携は必要不可欠です。
全員で歯車をまわしているため、
ひとつに不具合が生じるとめざしている達成が難しくなります。
ひとりひとり力が抜けていけばチームとしての推進力が減りますので、
ひとりが崩れるとすべてに影響がうまれます。
5.【インシデント】悩んでいる看護師のあなたへ5つの処方箋
ここまでお読みいただき、どうでしたでしょうか?
インシデントの要因を統括して大きくみていくと、
【個人的なストレス】
【職場(組織)が抱えるストレス】
- 先輩、リーダーの統率、指導力不足
- モラル不足、基準や風通しのよい職場形成の困難さ
この2つに分かれます。
インシデントについて悩まれているあなたにおくります。
5-1.人間関係が問題なら異動しよう
インシデントの起因が人間関係によるものであれば異動がよい選択肢です。
インシデントが続くことで自信の喪失にも繋がります。
あなたの活躍できる場所はその職場だけではありません。
人生は長いですから、あなたのペースで看護師の道を歩みましょう。
経験年数に応じて人間性は成長するものです。
1年前の自分と今の自分を比較して変化はありますか?
周りのせいにしたり文句を言っているようであれば、あなたの成長はありません。
良いこと、悪いことも相互作用することで人間は成長していくものです。
人間関係の原因がどうしても取り除けなかったり、
自分が変わっても働きづらければ異動という選択がベストと言えます。
働きやすくなることでインシデントが減ることも期待できますし、
あなたのパフォーマンスが100%発揮できれば患者様、利用者様にとっても良いです。
雰囲気づくりができていない職場であれば、
報告義務を怠り隠蔽することにも繋がってしまいます。
5-2.先輩の教育体制を確認しよう
あなたが新人看護師、中堅看護師の場合は指導を受けることが必要です。
先輩の指導はどうでしょうか?
「怒ってばかり、質問しにくい、嫌な顔をされる」
こんな先輩につかれてば、落ち込む要因にもなります。
まず、あなたに教育できるヒトなのかを見極めましょう。
あなた自身も、ヒトのせいにして逃げていたり、
自己成長が難しい姿勢があるとすれば、あなた自身に問題があるわけですから、
自分を磨く努力が求められます。
あなたの技術不足で起こったインシデントであれば、
あなたは看護技術を磨くことが必要ですし、
あなたを教育・指導できない先輩にも問題があります。
インシデントが起こる前に方法を伝える責任があったはずです。
先輩との関係が悪いと、自己判断で隠蔽にあたるような行動も出てきてしまいます。
5-3.職場の雰囲気、仕事の取り組み方をみよう
まわりの先輩看護師、新人看護師、看護師長の動き方はどうでしょう。
- 「効率」「チームワーク」として仕事はまわっているでしょうか?
- しっかり仲間同士で伝達はできていますか?
- 悪口を言う看護師は沢山いますか?
- 人間関係に気を使い過ぎていませんか?
- インシデントを無くすために職場全体で働きかけはありますか?
インシデントの事例は沢山あるはずですから、
時間をとって研修を行うことも必要です。
事例を客観視することで要因が見えてきます。
アクシデントに発展する事例をみることで、
日頃の業務を見直すきっかけになります。
インシデントはあなた個人で抱える問題ではありません。
良い支援が途切れることなく続くように日々考えることが必要です。
5-4.あなたらしい看護業務ができたか振り返ろう
新人看護師、中堅看護師、先輩看護師として
今、あなたが行わなければいけない看護業務はしっかりできたでしょうか。
患者様、利用者様に寄り添い、
まわりの人間関係よりも支援に力を注ぐことができたでしょうか。
「長く仕事が続くように・・・」と考えて人間関係ばかり気にしているようであれば、
あなたらしい「看護」は提供できていないといえます。
看護師の仕事を遂行するために、
人間関係を気にしなければいけないのはブラックな職場です。
勝手な自己判断、隠蔽工作等も考えられますので、
インシデントが尽きることはありません。
インシデントによって職場全体の評価が下がる前に異動しましょう。
職場環境に問題があると悪いことが必ずと言っていいほど続くため、
どこかで見切りをつける判断力も必要になります。
5-5.自己解決はやめよう。職場は沢山あります
自分でひとりで悩んで解決するのだけはやめましょう。
チームで働いている以上、全員に責任を課しながら行うのが本来の姿です。
車の事故と同じで、インシデントは起こしたくて起こしているのではありません。
インシデントはあなただけの問題だけではなく、
職場・先輩看護師にも関わってきますから、
問題を抱えて辛い思いをするのはやめましょう。
6.まとめ
インシデントが続く、もう仕事をしたくない、看護師を辞めたい・・・。
誰もがインシデントやアクシデントを起こしたくて仕事をしていません。
「インシデントで良かった」のではなく、
日頃から発生させないように原因を探っておくことは大切です。
インシデントが続くようであれば、
職場全体で見直しができていないということにもなります。
異動が困難な場合は思いきって「職場変更」がよいです。
職場はあなたの在籍している場所以外にもありますから、
職場見学をして自分の希望する働き方、
将来像と照らし合わせることで新しい発見ができるはずです。
手軽にできる方法はこちらで公開しています。
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看護師として「あなたらしい仕事」ができるよう応援します。